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それぞれの成功体験

成功体験ってどういうこと?

なんだかとても響きの良い言葉のように感じるけれど、何をもって成功とするのか考えてみると奥が深いなと感じます。例えば、勝負となる遊び(将棋、オセロ等)において、大人が子どもを相手にした際、わざと負けてあげることはその子にとって成功体験となるのでしょうか?

 

私は『場合による』と考えています。「なんだよ、何もわかってないじゃん」と思われた方もいるでしょうが、子どもたちとの関わりで成功体験の意味に悩むことは日々多くあります。

 

それは先ほどの問いを例にすると、勝ちを譲ることは、ポジティブな感情を生み出し、自信をつけることに繋がるのかもしれません。しかし、配慮されすぎた環境の中で勝つことを続け、本来の能力以上の自己評価をするようになってしまった場合、もしそれが通用しないコミュニティに身を置いた際に、反対に自信を失ってしまったり、他者へその理由を転嫁しようとする防衛的手法を身につけてしまうリスクも考えられます。そのように考えると、もしかすると負けたという事実をプラスの力に変えていける考え方や、負けを受け入れる姿勢を身につける機会を持つことの方が、成功体験と言えるケースがあるのかもしれません。

 

私たちが目指すこと

先ほどの『場合による』の真意は、以前にも触れましたが、その遊びや勝負にどのような意図を持っているかスタッフが説明できる必要があるということです。初めて通所したお子さんには、その子の個性や性格を見ながら、また楽しみに来てくれることを一番の目的にする場合もあるでしょうし、感情表出や気持ちの切り替えに課題があれば、その対処する経験を積むためにあえて負かしにいくという選択も考えられます。ここで大切なのは、前述した負けることすらも子どもたちが肯定的に受け止められるよう働きかけることです。気持ちを切り替えられた、改善点を見つけられた、自分の力不足を受け入れる、全力を出して清々しい気持ちになる、こういった感情や反応を認めて子どもたちへ返していくよう、スタッフは意識しています。

このような機会を日々の中で積み重ねていくことで、勝ち負けという表面的な結果だけでなく、負けた事実からも自分を肯定的に受け止められる思考への変換装置(スタッフの働きかけ)の役割を私たちは担っていきたいと考えています。

 

 

※管理者の独り言
格好をつけて、いつでも勝てることが前提のように文章を書いたけれど、真剣勝負をしてスタッフが負かされることだってある。それぞれが持つ輝きや得意なことを見つけたら、可能な限り伸ばしていく環境を作りたいな。

投稿日:2020年01月19日(日)