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プログラミングと療育について 〜後編〜

【後編】
お世話になっております。佐藤です。
前編では学校やみかづきで取り入れられている「Scratch」についてご説明すると共に、プログラミング教育の意義について疑問を提示させて頂きました。

後編ではその解釈と、みかづきで実施する理由についてお話ししたいと思います。またも長くなりそうですが、お付き合いいただけると幸いです。

いきなり本題に入りますが、日本の教育を主導するビッグボス・文部科学省が提唱した「プログラミング教育の意義」を、要約してご紹介します。

・身近な生活の中にあるコンピュータの存在への気付きを促す。

・問題解決の手順を考えることで、論理的思考を身につける。

・各教科で養う思考力を基に、基礎的な「プログラミング思考」を身につける。

……いや、ちょっとわかりづらいですね。
なのでさらに意訳しますと、

「理屈が明快な『プログラミング』というツールを使って、目の前の問題を解決するための順番・方法を探る力をつける」

ということだと思います。

プログラミングは原因と結果がシンプルに結びついていて、「こうしたい」という結果が明確にイメージできればそこに向かう最短ルートを確保でき、最短ルートが見つかれば欲しい結果を最速で得られます。ただし、一つでも間違えると必ずどこかに支障をきたします。だから問題解決のための考え方を養うには最適、ということでしょう。

ちなみに原文でも論理的思考と「プログラミング的思考」はあえて区別されているのですが、これは恐らく「論理的思考(物事の理屈の組み立て方)」という大きな分類の下で、「プログラミング的思考(求める結果のためにより効率的に道筋をつける力)」を養いたいよ、という使い分けのためでしょうか。

 

さて長々綴ってまいりましたが、最終的に僕がお伝えしたいのは「何故みかづきでScratchをやっているか」です。
まずひとつには、大多数が馴染みの薄いScratchをみかづきで先取りし、学校でのパソコンの時間に「すごい!もうできるんだ!」と評価されることで、周りと関わるきっかけになったり、自信に繋げてほしい、というねらいがあります。

実際このねらいは一定の成果を挙げているようで、お子さんからの
「学校で褒められた!」
「友達に『ここ教えて』って頼まれた!」
という報告を耳にすることがあり、僕たちもとても嬉しく感じています。

 

ひとつめの理由をスキルの習得=「支援」と捉えるならば、もうひとつは反対に「療育」としての意味合いが強いかと思います。
何かと申しますと、それは「課題解決能力の向上」です。つまりは先ほど要約してご説明した「プログラミング的思考」の修得を指します。
自分が困った時、事態を打破する方法や手段をなんとかして捻り出さなければいけない場面は沢山あると思います。時には誰かの手を借りられず、ひとりでやる必要に迫られるでしょう。学年が上がったり社会に出れば尚のことです。
その時に、自力で問題の根っこを掘り下げて、どこに着目するか。原因がわかったら、どんな順番で何をしていくか。この作業がスムーズに、かつ不安すら感じないくらい無意識にできれば、これほど素晴らしいことはない、と個人的には考えています。
その基盤を作るためのプログラミングであり、さらに言えばそうした力の修得をサポートするために、我々デイサービスの存在があるように思うのです。

 

なんだか熱く語ってしまいましたが、みかづきで、それから学校でScratchでの活動を実施している理由はお分かりいただけたでしょうか。
今後も当事業所の取り組みについて勝手に解説させて頂こうと考えておりますので、お付き合い頂けると幸いです。

投稿日:2022年06月12日(日)